Introductory Readings in the Philosophy of Science (1)

Introductory Readings in the Philosophy of Science

Introductory Readings in the Philosophy of Science

4年くらい前に買って今まで積ん読していたもの.そろそろ読まなければ.

科学哲学の有名な論文を入門者用にまとめたものらしい.最初の論文はカール・ポパーの"Science: Conjectures and Refutations"(「推論と反駁」).イントロダクションにサマリーが載っていたので自分用に訳してみる.

幾多の著作を通じ,カール・ポパー卿の関心はいかにして科学と疑似科学を区別するかという問題に向けられている.彼は,真に科学的な理論とそうでない理論を区別する線引きの基準(criterion of demarcation)を設けることによって,この問題を解決したのだと主張している.反証可能性(falsifiability or refutability)の基準にしたがって彼が示そうとしたことは,アインシュタインの重力理論はこの基準を満足しており(よって科学的であり),占星術や,マルクスの歴史理論や,さまざまな精神分析理論は,理由は違えどどれも科学的でないということである.また彼は,線引き問題を意味の問題から分離したいと考えており,後者は疑似問題であると主張している(意味の問題を疑似問題と考えたのはなぜか,またそのことを示すのにポパーは成功しているかどうか,読者によく考えてもらいたい).


彼は論文の中ほどで,線引き問題は多くの哲学的問題,特に帰納法の問題を解決するための鍵を提示していると主張している.このことは第1部の主要トピックに関連しないので,論文の該当部分は本書に収録の際大部分削除されている.帰納法の問題とは次のようなものだ:我々はどのようにして,過去にも現在にも経験したことのない事実に関する知識の主張(knowledge-claims)を,正当だと証明することができるのだろう? 18世紀にデイヴィッド・ヒュームは,合理的な正当化を行うことは我々にはできないのだと主張した.ポパーは,帰納法に対するヒュームの論理的反駁については同意したけれど,帰納法心理的に(慣習ないし習慣という観点から)説明しているのには反対した.結論部分(本書にも収録されている)でポパーは線引き問題に戻り,帰納法の問題と関連させて論じている.

本文はこれから読む.