アラン・ブーヴィエ『集合論』

集合論 (1971年) (文庫クセジュ)

集合論 (1971年) (文庫クセジュ)

周知のように,集合論はカントルの創始にかかるものである.しかしながら,彼の集合論は“無限の算術”としての理論であって,濃度や順序対の理論が中心であった.これに対し,現在の集合論は,これに抽象代数学的な扱いが加味されて,“集合の代数学”とでもいうべき側面が強調されるようになっている.また,カントル流の素朴な理論から,公理主義的なものになってきている.本書はその面からの解説書であって,現代的な集合論の入り口を概観するには手頃のものであろうと思われる.

「訳者まえがき」より

しかしながら,非常に広い範囲の人々に,数学の一分野の理論を説明するということはむずかしい仕事である.なぜならば,数学は――よくいわれるように――本当の《学問》だからである.ここで《学問》だというのは,数学は,実際に勉強しようとする人々に,強い意志,注意力および厳密さを要求するからである.

原著者による「まえがき」より

以上を心に留めてこれから本文を読む.